日本医師会COVID-19有識者会議 COVID-19感染対策におけるPCR検査実態調査と利⽤推進TF |
COVID-19感染症のグローバル・パンデミックにおいて、必要なPCR検査が実施できない状況が続いている。これは医療、社会・経済に対する深刻な影響をもたらしている。
この現状に鑑みて、日本医師会COVID-19有識者会議では、実態調査に基づく適正な利用推進を目的として、「COVID-19感染対策におけるPCR検査実態調査と利用推進タスクフォース」を設置した。PCR検査の実態調査結果に基づき、課題の整理と解決法の提示、緊急および長期にわたる国家戦略的な提言を行なった。
PCR検査の実態調査の結果、主要な課題は、3つのセクターについて以下のごとく整理された。
課題の解決のためのソリューションとして、以下の両面から具体的な方策を示した。
PCR検検査の実施は、社会・経済活動の回復・維持の基本的な指標となることから、国家戦略的な取り組みが必要で、それを推進する上で、国家財政基盤の視点において予算措置が必要である。
実態調査の結果に基づき、適正な利用推進に関する緊急的な方策について、以下の提言をまとめた。
①PCR検査の利用に関する国の司令塔機能(情報収集、戦略、指揮、調整、広報等)の設置
②緊急事態の発動・解除および社会・経済活動の起動の判断と対策効果の基本評価指標に活用するためのPCR検査件数の拡大と財源の確保
信頼性あるPCR検査のための精度確保のための調査(外部精度評価)と施設間差の是正、精度管理物質の利用の促進とその実施に向けた財源の確保
不安定な海外発注に依存しない試薬供給、ニーズに合う需給調整機能を構築するための財政支援
長期的な国家戦略:第二波、新たな病原体によるグローバル・パンデミック感染症(新興感染症)への対応として、以下の提言をまとめた。
本報告書をもとに、PCR検査が必要な対象者でタイムリーに実施されることにより、安全・安心で良質な医療提供が行われること、治療が適正に評価されることが期待される。また効果的な感染制御および社会・経済活動の回復・維持において、基本的な指標となるPCR検査の拡大が重要である。