2020-12-28
日本医師会COVID-19有識者会議 |
(日本医師会COVID-19有識者会議声明 2020年5月17日)
今回のCOVID-19パンデミックは医療崩壊も危惧される緊急事態であり、新薬承認を早めるための事務手続き的な特例処置は誰しも理解するところである。しかし、有事といえども科学的根拠の不十分な候補薬を、治療薬として承認すべきでないことは明らかである。当有識者会議はアカデミアの立場から以下の提言を行う。
COVID-19治療薬開発のためには、「適切に設計され、かつ適切なコントロール群(即ち抗ウイルス薬または免疫調整剤を含まない群)を含むランダム化比較試験(RCTs)」を実施することが必須であり、十分な検出力確保のための症例数設計が重要である。特にCOVID-19のように、重症化例の一方で自然軽快もある未知の疾患を対象とする場合には、症例数の規模がある程度大きな臨床試験が必要となる。さらに、観察研究だけでは有意義な結果を得ることは難しいことを指摘したい。安全性に留意して適応外使用を行うことは現在も認められている。エビデンスが十分でない候補薬、特に既存薬については拙速に特例的承認を行うことなく、臨床試験によって十分な科学的エビデンスに基づいて承認すべきであることを提言する。