中谷 比呂樹 | 慶応義塾大学 特任教授WHO執行理事 |
COI: | なし |
(2020年9月7日寄稿)
CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)、GAVi(ワクチンと予防接種のための世界同盟)およびWHOは、ワクチンの開発とその公平な配分を推進している。COVID-19ワクチンについては、専用メカニズムとして、GAVi内にCOVID-19世界ワクチンアクセス機構(COVAX: COVID-19 vaccine Global Access Facility)が作られた。GAViは基本的に低所得国および低位中所得国向けに定期接種用のワクチンを無償または安価に提供する組織であるが、このCOVAXでは、これらに加え、上位中所得国や高所得国も参加できる仕組みとなっている。その為、GAViの恩恵を受けている92ケ国に加え、日本を含む80ケ国が関心を明らかにした。参加コミットメントは9月18日に締め切られ、参加費用は10月2日までに振り込みが求められる。高所得国の資金は低所得国等を支援することにも使われることを承認するのが参加の前提となっているため、このメカニズムに参加する全ての国がワクチンへのアクセスを享受できると説明されている。平行して、GAViはワクチン製造者へ事前買い上げ保障を表明しており6億ドルの募金を得ている。これによってワクチンの購入価格の低減が図られることになっている。
因みに、今のところCEPIが開発支援しているワクチンは、以下の9つである。
更に米・中から各2、英・韓・国際共同開発グループから各1の都合9つの追加のワクチン候補がある。
プレス・リリース全文は、以下から見ることができる。
COVID-19は、戦略的な対応を行うため、適時・信頼に足る保健データーを求めているが、多くの国で、データーの収集・解析について十分な体制が組まれていない。その為、WHOはSCORE(Survey:調査、Count:集計、Optimize:最適化、Review:評価、Enable:活用)を目指す保健データープラットフォームを各国が作ること、また、必要なツールを開発して加盟国に共有することとした。
SCOREは、WHOがBloomberg保健データー慈善財団と協力して開発したもので、90以上のツールや基準を網羅したものである。
その活用により:
このイニシアチブの開始にあたって、SCORE基本活動【Essential Interventions】とSCOREツールと基準集(Tools and Standards)が公表された。
Press Release
Score Essential Interventions 及びScore Tools and Standards
このガイダンスは、8つの二重盲目試験(症例数7184名)を国際パネルで検討したもので、勧告は2つ。
ステロイド薬は、広く流通しているため、現実的・実用的な治療法が出来たとする一方、より長期の治療効果を見ながらガイダンスの見直しが行われる可能性にも言及している。 Annexに詳細な文献調査の表が付帯しており、臨床家の参考になるであろう。
全文は以下からダウンロードできる。